2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて / for Tokyo 2020

「東京オリパラ海外来訪者増大に伴う感染症リスクと対策」と題した、
公開市民講座を2018年7月29日(日)にヤクルトホール(東京・新橋)にて開催します。

感染症対策として行っている日頃の研究業務について成果の発表や、
2020年の東京オリンピック・パラリンピック期間中に想定されるリスクについて
ぜひ知っておいていただきたいことについてお伝えします。

1人でも多くの方の、ご参加を心よりお待ちしております。



開催概要 / Outline

参加費: 無料
開催日時: 2018年7月29日(日) 14:00-16:00 (開場 13:00)
開催会場: ヤクルトホール (東京・新橋)
〒105-8660 東京都港区東新橋1-1-19 ヤクルト本社ビル
主催: AMED 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発研究事業
「迅速・網羅的病原体ゲノム解析法の開発及び感染症危機管理体制の構築に資する研究」研究班




アクセス / Access

出典: http://www.yakult.co.jp/hall/access/



プログラム / Program


〜新興感染症への関係機関の対策〜

齋藤智也 (国立保健医療科学院)
国立保健医療科学院健康危機管理研究部

人やモノのグローバルな動きにより、遠く離れた国で発生した感染症であっても、日本が無関係とは言っていられません。「国際的に脅威となる感染症対策」は、政府 全体としても取り組んでおり、関係機関により様々な取り組みが行われています。海外の発生国での対策に手を差し伸べる国際的な対策はもちろんですが、近年のイン バウンドの急速な増加により、地方都市でも輸入感染症のリスクを実感しつつあり、国内体制の強化も急務です。特に、東京オリンピック・パラリンピックのような世 界中から多くの人を集めるイベントでは、日本では普段見かけない感染症が持ち込まれるリスクと、東京を起点とした世界への拡大リスクに注意しなければなりません 。さらには、生物テロのような人為的な引き起こされる感染症に対する対策も考えておく必要があるでしょう。これらのリスクに対処するには、予防、発生時の速やか な検知と対応、そして事前の入念な準備が欠かせません。本講演では、感染症対策に関わる機関と対策の全体像についてお話ししたいと思います。



〜感染症対策における地方衛生研究所の役割〜

調恒明 (山口県環境保健センター)
山口県環境保健センター

近年、環境変化などにより、動物がヒトと接触する機会が増加し、動物の持つ病原体がヒトに感染して生じる新興感染症が増加しています。さらに地球規模での人・モノの大量輸送によって、感染症が日本に入ってくる危険性が増大しており、これらが広>がる前に早い段階で探知し、感染の拡大を防ぐことが大きな課題となって来ています。 感染症を探知するには、疑い患者を探知し、PCR法などによる迅速な病原体の遺伝子検出によって診断を行います。病原体が検出されたときに、国内他地域、他国の病原体と遺伝子配列を比較することで感染経路などを明らかにすることを分子疫学と呼んで います。分子疫学と保健所が行う患者の行動などの調査と合わせて、日本では麻疹(はしか)が流行していないことを科学的に証明し、2015年にWHOにより日本が麻疹の非流行国であると認定(排除認定)されました。分子疫学は、腸管出血性大腸菌等の気 づかれにくい広域的食中毒の早期探知にも力を発揮すると考えられています。 このような病原体の検出・解析は、国立感染症研究所の技術的支援を受けて、各地方自治体にある地方衛生研究所が主に行っており、講演では感染症・食中毒を引き起こす様々な病原体の解析とその活用について紹介します。



〜次世代シークエンサーがもたらす病原体検査の革新的進歩〜

四宮博人 (愛媛県立衛生環境研究所)
愛媛県立衛生環境研究所

感染の拡大・再発防止など、有効な感染対策を実施するためには、迅速で正確な病原体の検出と感染源・伝播経路の同定が重要です。このために、病原体遺伝子を検出し病原体株間の遺伝的な関係を調べることが一般的です。しか>し、従来の方法は、病原体ゲノムのごく一部の情報しか利用しておらず、原因となっている病原体株を識別し、感染経路等を正確に推定するためには必ずしも十分ではありませんでした。次世代シークエンサー(NGS)は従来の方法と 比べ数100万倍の情報を処理できるため、病原体の全ゲノム塩基配列情報の取得が容易となり、病原体感染の追跡過程の概念に革命がもたらされています。すなわち、感染症の発生に際して感染経路同定の可能性が非常に高くなり、 迅速でターゲットを絞った対策を講じることが可能となってきています。また、全ゲノム解析により、病原因子や薬剤耐性遺伝子等の存在が明らかにされ、病原体の性状を極めて詳細に理解することも可能になりました。さらに、>原因不明症例の原因病原体を探索するうえでもNGSは有用です。本講演では、このようなNGSがもたらす病原体検査の革新的進歩についてお話ししたいと思います。



〜刻み海苔のノロウイルス・アウトブレイク対応〜

貞升健志 (東京都健康安全研究センター)
東京都健康安全研究センター

東京都健康安全研究センターは、東京都民の生命と健康を守る科学的・技術的拠点として、食品、医薬品、飲料水や生活環境などの日々の安全・安心確保と感染症など の健康危機への備えの両面から、試験検査、調査研究、研修、公衆衛生情報の解析・提供及び監視指導を行っています。当センターは検査・研究部門、広域監視部門、 健康危機情報部門からなり、それぞれが連携しながら調査研究等を進め、健康被害の未然防止に取り組んでいます。本講演では2017年2月に発生したノロウイルスに汚染された刻み海苔による食中毒事例を例に、当センターにおける病原体検査対応、取り組みについてご紹介したいと思います。



〜網羅的に病原体を検出する〜

黒田誠 (国立感染症研究所)
国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター

国立感染症研究所・病原体ゲノム解析研究センターでは、国内外で発生する病原体(ウイルス、細菌、真菌、寄生動物、媒介ベクター)の特徴をゲノム情報として収集し、病原体種・クローン株が示す特徴を ”ゲノム配列” として俯瞰的に理解し、その特徴を明らかにすることを目的としています。現在、世界的な感染症伝播を追跡トレースし、迅速に発生源を特定して効果的な感染症対策への提案を実施するためゲノム情報解析法を開発中です。  我々の感染症研究の取組みのひとつとして、原因不明症例の病原体検索を遂行しています。一般的に医師が臨床所見から妥当と判断された診断検査キット(もしくは民間外注)で感染症の有無を診断しますが、病原体を特定できない症例が少なくとも存在し、およそ半数近くが原因不明と算定されています(感染症とは無関係の可能性含む)。  これら原因不明を究明するため、次世代シークエンサー(NGS)を活用した網羅的病原体検査システムを開発し、NGS検査法と称して地衛研とともにネットワークを構築中です。既存検査法と比べ、NGS検査法は “感度・特異度” に加えて “網羅性”を兼ね備えた検査法であり、臨床検体のDNA/RNA配列を網羅的に “まるごと” 解読して漏れの無い病原体検査法として活躍しています。東京オリパラを目前に多様な感染症リスクが想定されるため、感染症拡大の防波堤となるシステム開発に邁進し、危機管理体制を充実させたいと存じます。



〜つぶやきビックデータで感染症をとらえる!〜

荒牧英治 (奈良先端科学技術大学院大学)
奈良先端科学技術大学院大学ソーシャル・コンピューティング研究室

奈良先端科学技術大学院大学ソーシャル・コンピューティング研究室では, Twitterをはじめとしたソーシャル・メディアのデータを収集し,そこから感染 症に関連した症状を示す単語を集計することにより,感染症の流行を推定してい ます.観光客の増大に伴い,これまで想定もしていなかった感染症の流行が危惧 されています.パンデミックを未然に防ぐには,どんな症状か(吐き気,寒気, 痙攣など),どれくらいの規模か(数人,それとも数百人),どれくらいの地域 か(飲食店を中心とした狭い範囲なのか,学区に広がる範囲なのか)など,迅速 な情報収集が重要になります.その初動の情報収集において,もっとも早く,か つ,大規模に情報を収集できるツールとして,ソーシャルメディアが期待されて います.しかし,同時に炎上やデマなど,まざまな情報ノイズが存在するのもソ ーシャル・メディアの特徴です.本研究室では,機械学習という人工知能技術の 一種でノイズを除去する技術を開発しており,推定の精度を向上させています. このように,本研究室では,新しいツールであるソーシャル・メディアを医療利 用可能にすべく研究を継続しています.




お問い合わせ / Contact

[事務局]
〒162−8640 東京都新宿区戸山1−23−1
国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター 市民講座担当
E-mail: pgc3[at]niid.go.jp ※[at]を@に変更ください


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